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THE CRESTFALLEN / ANATHEMA
92年発表のデビュー・ミニアルバム。現在は、95年発表の2ndミニ・アルバムPENTECOSTIIIとのカップリングCDとして発売されている。
陰鬱と苦悩と絶望を表現するジャンル・ゴシックメタルの、その黎明期を支えたバンドのデビュー作だけあって、ひたすら暗、重、遅の三拍子が揃ったアルバムではある。が、そこから滲み出る耽美意識の質において既に、当時のレーベル仲間MY DYIND BRIDEやPARADISE LOSTと差別化されるだけのものが聴き取れる。
ただ彼らの耽美感覚は、聴き手の琴線に触れて涙腺を刺激するような悲哀のドラマ構築に作用しない。メロディの鍵を握るDaniel(とVincent兄弟)のギターは、蠢く孤独の内側にひたすら閉じ込もる。故にANATHEMAは、「好き」だと言いたいのに、「好き」な理由が挙げ辛い。
彼らはただ素朴で美しい花を、誰の手にも届かない闇の中にだけに咲かせて、侵され朽ちていくその様には目を背け、俯いている。
そんな無力感があまりにも切ない。