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WORLDWITHOUTEND / KATHARSIS
2006年発表の3rd。
よく「カレー好きのためのカレー」という表現を目にしますが、
この作品は正に「ブラック好きのためのブラック」。
曲のぶっ壊れ具合がかなり凄く、スピーカーで聴くと壊れたラジオに悪霊や怨霊の類が憑依して
音楽を奏でたらこうなるんじゃないか…というような、凄まじい混沌が辺りを包みます。
第一印象はそんな感じだったんですが、良く聴くと案外整合性があって各要素もかなり
レベルが高いんですよね。まずヴォーカルは…発狂したように捲し立てる禍々しいがなりが
メインで、時々声をひっくり返してまでヒステリックに叫び散らしたり、涎を撒き散らしてる
感じのイカれた笑い声を入れたりしてかなりイっちゃってます(笑)。
「グアッ」とか「ヴァーーーーーー!!」みたいな絶叫も多く気合入りまくり。
リフも時々メロディアスなのにも関わらず、メロウさよりもカオスの方が際立っているものを
弾いていて素晴らしい。曲は結構大作が多め(最長16分)ですが、この混沌とした雰囲気に
呑まれるのが快感なので個人的にはオッケー…と思ったけど、気分によってはやっぱこの作風で
16分は流石に長いと感じてしまう時も。ただ気分が同調した時はもうずっと聴いてたいくらいですが。
よくこのバンドの音楽性を表すのにノルウェーの初期ブラックが引き合いに出される事が
多いようですが、確かに雰囲気的に通じる物があると思います。あの雰囲気をもっと
アンダーグラウンド臭を強くした感じ。音質は最初ヴォーカルがぶっ壊れてるせいで
曇らされてましたが、よく聴くと悪くないです。ドラムはちょっと軽めですが、ギターは
丁度良いノイジーさでリフの凶性を損なわず実に気持ち良い。
ブラックメタラー限定で耳に優しい音質かと。
…まあメジャーどころと比べると、確かにややフェチ向けなのは否めませんが、これは
ブラックを普段から愛好している人は「NO」と言えない音源でしょうね(笑)。
混沌と整合性がバランスよく混ざり合ったかなりの好盤です。
コテコテのオールドスクールプリミティブブラック路線だった1st〜2ndからちょっと路線を変えた3rd。ぬるくなったかと思いきや、ますますぶっ壊れてます。(笑)
前作との違いですが、まず音圧があがった気がします。だからといって骨太なサウンドではなくやはりブラックならではの音。あえてたとえるならドラムがさらに引っ込んだFUNERAL MISTのSALVATIONっぽいサウンドでしょうか。
次にヴォーカルがこれでもかというくらいエフェクトかけてます。でもエフェクトに頼ってるとは決していえない凄まじさ。エフェクトをも取り込んで自分の邪気に変えてます。
この声大好きです。(笑)
次にさらに曲が長くなり初心者への配慮は一切ない気がします。
6曲で52分と長いです。このバンドのアルバムってすべて6曲入り(2ndも実質は6曲)なのは意図的なんでしょうね。
曲調もちょっとかわった感じで、前作までは比較的トレモロリフが多かったですが、今回の方が刻みっぽい暗いリフが増えた気がします。
前作はじわじわくる感じですが、今回は直接脳髄に混沌と恐怖を叩き込む感じ。
自分の中ではFUNERAL MISTやMAYHEMの1stらと並ぶ究極の邪悪ブラックの冥盤。
上にあげた2バンドが「魔界」とするならばこの作品は「冥界」といった感じ。
…よくわからないたとえですが、自分が感じたものをそのまま書いてみました。
2006年にこれ買ってたら確実に投票してたでしょう。
最後に、この作品を知るきっかけとなったUsherさんに感謝します。
僕はこのバンド&この作品はここで知り、購入に至ったのですが、本当に気に入りました。
まずはUsher-to-the-ETHERさんとGODさんにお礼申し上げます。
赤が印象的なブックレットにはSpawned in Chaos(混沌を大量に産み出す)やRecorded in Hell(地獄からのレコーディング)など
まさに邪悪性を期待させるべき文字がいくつかあります。
中ジャケや曲名からとても宗教的な雰囲気も感じ取れます。
始まった瞬間から暴れるようなリフでとことん疾走。
サウンドはかなり粗く、それぞれの楽器が思う存分暴れ、音圧もあるので、相当ぶっ壊れて聴こえます。
ブラックメタルに重要な1つであるリフは、これだけサウンドが粗いと
音に呑み込まれそうですが呑まれること無く、反復法のように目立ちながら進んでいく展開。
ドラムに関してはブラックメタルの基本スタイルですが、ブラストのタイミングや炸裂具合なども申し分ないです。
それからこのアルバムで一番功労しているVoは、とてつもなく邪悪です。
発狂して叫びまくったり、断末魔のような叫び声もあり、しかし、
自然に表現しているのではなく、このためにかなり鍛えられてるタイプだと思います。
曲がちょっと長めなので苦手な方もいるかも知れませんが、アルバムとしてとても邪悪で過激です。
自分も含め、こういうタイプが好きな方にとっては、かなり重宝するものになるんでは無いでしょうか。
前作と比べると、ほんとに悪魔が憑依してしまったんじゃないかと思えるくらいの混沌っぷりです。
2ndがこれから訪れる禍を予兆していたものだとしたら、これはもう地獄から魔物の群れが押し寄せて来てエッライことになってる感じ。
暴風の如く荒れ狂うリフと邪悪さ以外に何も無いと言えるようなイーヴルヴォーカルが最高に破滅的で素晴らしい。
音作りや展開も凝っていて、ぶっ壊れているのに整合性もあるという絶妙な感覚です。特にギターは聴いていて非常に心地いいですね。
曲毎に時間が長く雰囲気としてもかなりのものなので好きな人は間違いなくトリップできるでしょう。
とにかく、邪悪万歳!!混沌万歳!!悪魔万歳!!な作品です。
かなりの執念を感じさせる程のこだわりっぷり。これはもう平伏す他ありません...
あと、毎度のことながらジャケットを始めアートワークが素晴らしいですね。