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MIN TID SKAL KOMME / FLEURETY
タイトルの意味は「我が時は来たり」。95年発表の1stアルバム。
2003年に「BLACKEND COMPILATION」に提供した曲である「ABSENCE」と93年発表のEP
「A DARKER SHADE OF EVIL」の計4曲を追加したリマスター盤が再発されています。
リマスター盤はノルウェー語詞の曲に英訳付き。
音楽性のタイプとしては、プログレ的な展開の妙と濃ゆいアンサンブルで聴かせる、
VED BUENS ENDEタイプのアヴァンギャルド・ブラックという感じでしょうか。
流石にアンサンブルの聴き応えでは、Carl-MichaelとSkollというブラック界でも最強の
リズム隊が在籍していたVBEと比べると部が悪い気がしますが、こっちは叙情的なメロ使いや
トレモロリフの多用、女声ヴォーカルの導入や展開の明確さといった要素もあるので、
一般的なブラックメタラーから見たら取っ付きやすさでは上なんじゃないかと思います。
続くEPでは、随分前衛方向に音楽性を傾けましたが、この作品はブラック然とした絶叫ありで
ヘヴィな音像なので、しっかりブラックメタルをプレイしてます。
また、ボーナスの「A DARKER SHADE OF EVIL」はある意味凄い音源。
この作品のレコーディングでNordgarenは喉を痛め、歌う事を止めざるを得なかったという
曰くつきのヴォーカルパートが凄すぎ。最早Dani Filthなど問題にならない程の高音絶叫で
ぱっと聴いただけでは人間の声かどうかすら判別不能な程。私も最初聴いた時はノイズを
取り入れてるんだと思ってました(笑)。もちろん曲の方も十分良いので、そのインパクトを
求めてネタで買ったとしても後悔はしないと思います。
しかし、ブラックメタルの金字塔といえるMAYHEMの1stが出たのが94年で、その一年後に
こんなブラックを自己流にアレンジした、ハイクオリティな作品をリリースするとは…
「A DARKER〜」に至っては93年だし。本当に北欧、特にノルウェーって才能の宝庫ですね…。
…やっぱノイズに聴こえますよねぇ…私もこれが人の声だと知ったときには薄ら寒くなりました。
いやしかしこれはブラック・メタル・ボーカルの究極というか、デス声とブラック声の違いを決定的にする好サンプルになってます。デス声は突き詰めると「獣の咆哮」になるわけですけど、ブラック声は突き詰めると「鳥の鳴き声」になるということです。
ちなみに擬音にすると「ピャーッ!!」です。いや本当に。
本編は簡単に言って初期IN THE WOODS…辺りの長尺で緩やかなブラックです。アヴァンギャルド要素が強いのでSATYRICON初期の方が近いかもしれない(あんなに凝ってはない上演奏も上手くないが。特にドラム)。アヴァンギャルド・ブラック・和み系になりますか。遠くから生暖かい目で見守っていると癒されなくもない。
…つーか、意図的かしれんが、変拍子使わなすぎです。これがFLEURETYだと思ってもらったら困る!!
コンピ提供曲は上手くまとまってます。いや、むしろまとまってないんだけど、脈絡のなさがキャッチーに聴こえるレベルに到達したというか。
…そのレベルはどの辺りにあるんだ、と聞かれても私もよく分かんないですけど…。