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DARK SPACE Ⅱ / DARKSPACE
2005年発表の2ndアルバム。3曲入り54分。
原盤は500枚限定で手書きナンバー入りでしたが、06年に再発されました。
このアーティストもアーティスト名の示す通り、ブラックメタルを通じて宇宙を表現する
音楽を演っていると言えると思いますが、LIMBONIC ARTやARCTURUSの描く宇宙が
星空や星雲だとするなら、DARKSPACEはブラックホールだと思います。
他のシンフォブラックを引き合いに出すなら、LUNAR AURORAの最新作が感性的には
近いかと。あっちよりメタル色は薄く、ノイズ色濃厚ですが。盤面も同じく黒ですし(笑)
音楽性はアンビエント・ブラックと言うカテゴライズからも分かるように、ブラックメタルと
ノイズ/アヴァンギャルドの中間という感じで、ブラックホールの持つ膨大な質量を
表しているかのような非常にノイジーで暗いギターの音が特徴。
パートによってはブラックの棚より、ノイズやアンビエントの棚に置くのが適切と思える音。
もちろんブラストビートや絶叫など、ブラックの要素もちゃんと入ってますが、
それらは全てギターのノイズに飲み込まれて、まるで一つの景色と化しているかのような印象。
また、キーボードもかなり使用されていますが、これがギターノイズと相まって、
非常に奥行きのある、暗い美しさを秘めたサウンドスケープを描き出してます。
ノイズの奥からとは言え、トレモロリフやキーボードによる神秘的なメロディも
出てくるので、ブラック好きにはそれ程敷居は高くない音になっていると思います。
展開もミニマルだし、メタル要素を音像が飲み込んでいるような作風なので、メタル視点では
もしかするとあまり楽しめないかもしれません。2曲目なんて最早メタルじゃないし。
しかし音響作品としての素晴らしさは一級品だと思います。
私なんかMYSPACEで試聴後、次の日すぐに買いに走りましたもん(笑)。
この作品も、ALCESTやBLUT AUS NORDの近作と並んでブラックメタルの可能性が
無限大である事を示した一枚といえるかもしれません。ブラックが好きで、ノイズにも
抵抗が無ければ是非聴いてみてください。SEっぽい部分はちょっと長めですが、
ブラックホールに接近するまでの宇宙遊泳だと思えば楽しめるのではないかと。
宇宙通信って通信経路がノイズまみれですけど
このノイズにまみれた音像がまさに宇宙から届けられた感じを
表現できていると思います。
アンビエントブラックってお化け屋敷みたいなのが多いですけど
これはそういう数あるアンビエントブラックとは一線を画します。
Paysage d'Hiverでは冬の情景、Darkspaceでは宇宙を表現しているので
今度は深海の神秘とかを表現するプロジェクトでもやって欲しいものです。
実際の宇宙やブラックホールがどんなものなのか、
行ったこともないので(後者は行きたくありませんが)
そりゃ分かりようがありませんが、私達がそれに対して
思い描く無限大の広さ、暗黒、神秘などがただ延々と表現
されたような音で、ノイズと奥行きのある音作りがまた
功を成しており、宇宙空間にトリップしたかのような感覚を
味わえます。
意識して聴いていれば耳を惹くメロディも部分的に出てくるのですが、
アンビエント的な音像なのでやはりアルバム全体を一つとして
聴いたほうがいいですね。
このような作品に出会うと、Usherさんが書かれているようにブラックって
ほんとに無限の可能性、表現力、そして深さを持つジャンルだなと思います。
比べることじゃないし、言い方が悪いですが、普遍的なメタルのカッコよさであったり、
メロディであったり、そんなのがわりかしどうでもよくなってくるんですよ...
ブラックの魅力に取り憑かれるとほんと(笑)