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DIADEM OF 12 STARS / WOLVES IN THE THRONE ROOM
2006年の1stアルバム。4曲60分という大作志向です。
端的に言うとアトモスフェリックブラックに分類される音楽性だと思います。
このバンドのメンバーは自然の中で自給自足の生活をするのを理想としているみたいで、
実際メンバーみんなで山の中の小屋で一緒に暮らして、現在の所100%自給自足とはいかないみたいですが、農耕を行っているみたいです。
そんなわけで、音の方も深い森の空気を閉じ込めたみたいな感じです。ただ、数ある北欧のブラックメタルバンドが寒々しい吹雪の夜の森の中、狼の遠吠えが聞こえるような世界観を表現しているのに対して、このバンドの場合薄明かりの森の中、大自然に包まれるみたいな感じですね。同時に大自然の厳しさも含めてですが。
曲はどれも長いですが、ミニマルではなくドラマティックな構成になってますのでダレずに聴けると思います。時にフォーキーでマイルドな一面もあり、もちろん疾走するパートもあります。
Voは基本的には男性ブラックVoですが、一部クリーンな女性Voが登場するのもこのバンドの音楽の雰囲気作りに貢献していると思います。
アメリカのブラックメタルで、こういうアトモスフェリックなバンドって珍しいのではないかと思いますので、今後も期待したいところですね。
①と②13分、③14分、④20分...と大作が目白押しの1st(2ndもこんな感じらしいです)。
静と動のパートを上手く組み合わせた展開で曲が長いながらもダレることはありません。しかし、展開より何よりメランコリーなギターのメロディを纏いながら絶叫と共に疾走するパートが本当に素晴らしいです。そこに女性Vo(これがまた儚い感じの声でいい)が絡んでくるともう堪らないものがあります。特に④のラスト。
ちなみにKeyも薄っすらと使われていますが雰囲気を出す程度に抑えられています。大自然を表現しているんでしょうね。
叙情的であり激情的でもあるドラマティック・ブラックメタル。PaganHordeさんが仰っているように基本的にはアトモスフェリックな感覚ですが、上にも書いたようにツボを押さえた、ブラッカーには堪らない要素が雰囲気ものになり過ぎない作風にしています。それでも、聴いていて大自然に惹き込こまれていくようなドラマ性を有したこの作品は凄い。非常に聴き応えあります。
それにしても、本当にアメリカのバンドだと思えない...