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TEMPORARY ANTENNAE / CAINA
2008年発表の3rd。
このアルバムのジャケかなり好きです。甲虫の羽の中ってスベスベしてそうでなんか良い(笑)。
KRALLICEが所属していたり、ALCESTの作品のリリースに噛んでいたりなど
次世代ブラック好きからの注目も厚いレーベルである「Profound Lore Records」に
所属しているだけあって、このバンドもブラックメタルのディストーションボイスや
トレモロリフ、ギターの歪みの轟音などの手法を用いながら、メタル的でない幻想的な風景を
描いていく、ポストブラックといえる路線の音楽を演ってますね。
ギターの歪みの音色や音の位置など音作りの面にもかなりのこだわりが感じられ、情景の
描写に全く抜かりはありません。轟音+デスヴォイスから突然四つ打ちテクノビートが
登場したり、意外性のある展開も面白いです。浮遊感のある雰囲気はALCESTや
LANTLOS辺りにも通じると思いますが、このバンドの描く情景はもう少し翳りがある感じ。
2、3曲目のアウトロのSE(子供のアカペラ)も葬列に参加してる子供が歌ってるような雰囲気が
あるし、タイトルトラックの清浄なメロと軽快なリズムも、死を前にして魂が体から抜け出して
浮遊しているような感触があると思う。
ただ、パートによってはプログレやポストロックに接近しすぎていて、別にブラックのルーツが
無くても同じような情景が描けるのでは…と思わされる部分も多く、ブラック要素のある
パートが少なめなのは好みが分かれるかも。そういうパートも嫌いじゃないんですが、リフの
轟音やドローン的な音響は気持ち良いし、デスヴォイスもTRIUMPHATORに通じる苦痛に満ちた声
でかなり良いので、個人的にはもうちょっとブラック要素が多くても良かったですね。