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CLEAR APPROACH / TRILLION
TRILLIONの2作目で、最後のアルバム。
前作と比較してkeyboardのパートはsynthが後退して、
心地よい小うるささが消えています。
AORぽいバラードが前面に出ていますが、
タイトル曲のプログレハード路線も健在です。
リーダー格のパトリックは、TRILLIONの後、
プロデュース業へと転職して、'80のポップス路線を担ったひとりだ。
TRILLIONはレベルの高いバンドだった。
1stを遥かに超える作品。時を越えて輝き続けるであろう名盤!!
1stも奇妙な味があって聴いていて楽しいんですが、大幅に哀愁度アップして洗練された感じの2ndは、普通に良いアルバムです。
美しいバラード(2)「LOVE ME ANYTIME」、(6)「CITIES」の2曲のためだけに買っても後悔しません。
1st『TRILLION』がクオリティに見合うだけの成功を収められなかった事に失望したファーギー・フレデリクセン(Vo)が
バンドから離脱。その後任として、彼に匹敵する実力派シンガー、トム・グリフィン('06年にメロディアスHRプロジェクト
AMBITIONにおいて、衰え知らずの美声を披露していましたね)を加入させ、'80年に発表した2ndアルバム。
デビュー作のセールス的な失敗と、音楽シーンの潮流の変化を踏まえて制作された本作は、先行シングル曲①に強く
表れているように、全体的にハードさが抑制され、アレンジや曲展開もシンプルに整理整頓。より聴き易く、
取っ付き易いアルバム作りが志向されている。前作をこよなく愛する向きには、大人しく脇役に徹する楽器陣の演奏に
少々物足りなさを覚えなくもないが、その分、じっくりと聴くことの出来るメロディの素晴しさはこれまで以上に
際立っているので差し引きゼロ(寧ろプラス?)。尤も、③④のインスト・パートや、終盤⑧⑨の流れからも
強く感じられる通り、プログレ・マインドは消え失せてしまったわけではなく、そうした要素は目立たずとも
本編のそこかしこに息付いている。中でも、妙なるピアノの調べとドラマティックな曲展開をバックに、
トム・グリフィンが溜息モノの歌唱力を駆使して切々と歌い上げる⑥は、繊細な美しさと力強い
ドラマ性を兼ね備えた、本編のハイライトにしてTRILLION屈指の名曲。何度聴いても惚れ惚れさせられますね。
アメリカン・プログレ・ハードから産業ロックへと至る、過渡期的サウンドが詰め込まれた実に魅力な1枚。デビュー作に
勝るとも劣らぬ名盤・・・だったのだが、本作もまたセールス的には全く奮わず、バンドはこれを最後に解散している。