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2007年発表の3rd。

よく敢えて弱々しいヴォーカルを乗せる事で、独特の世界観を演出するブラックとして
NUIT NOIRE辺りと比較されるバンドですが…パンク/ハードコア寄りで滑稽味の強い
NUIT NOIREと比べると、こちらはディプレッシブブラック寄りで倦んだ雰囲気が強く、
対称的と言える音楽性。NUIT NOIREのヴォーカルが「なよなよしている」だとすると、
こっちは「疲弊しきっている」感じ。殆ど歪ませない、人生を諦めた人の繰り言をそのまま
録音したような歌い方。RAWで抜けのいいドラムに比べ、ギターを淡くノイジーな音色に
している音質も、倦んだ雰囲気を強めてますね。

ネット上のレビューで、この作品をSHINING辺りの自傷・自殺系のブラックと対比して、
「餓死」に例えて論じていたものがありましたが…正に正鵠を射た表現だと思います。
攻撃性が自分に向かうと鬱系になって、更に自分を攻撃する気力もなくなったのがこの作品と
いう感じでしょうか。自傷する気力すらない分、絶望感は更に根深いのかもしれません。
自殺どころか、生活保護の申請すらする気なさそうだなぁこの人(笑)。

しかし、死にたくなるような絶望感を、「鬱」「哀しみ」ではなく、「倦怠」で表現できる
バンドまで現れるとは…新たなヴィジョンを提示するバンドが出てくるたびに思うんですが、
メタルの世界は本当に広い。とにかく個性的な音出してるので、興味があれば是非。
…でもこの音にシンクロしすぎるとヤバい感じがするなぁ…(苦笑)。
Usher-to-the-ETHER 2009年8月1日(土)21時55分

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