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-BELLOWING SEA- RACKED BY TEMPEST / IN LINGUA MORTUA
2007年発表の1st。
メロトロン入りシンフォブラックとして好事家の話題を攫った一枚。
国内盤未発売ながら、EURO ROCK PRESSで取り上げられるなど知名度は低くない模様。
…メロトロン入りシンフォブラックと言っても、メロトロンをこれでもか、と
敷き詰めたような音ではなく、派手なオーケストレーションの中の音色の一部として
メロトロンを上手く配置した作風で、LIMBONIC ARTやSIRIUS、最近ではSOTHISや
ABIGAIL WILLIAMSに近い音楽性。
上記のバンドが宇宙の神秘とか神話の戦争とか、ひたすらに壮大な世界観を描いているのに
対し、こっちはもう少し繊細でアンティークな雰囲気。鬼火のようなイメージを想起させる
メロトロンの音を始め、ストリングスのちょっとした震えさせ方、生のフルートやヴァイオリン、
サックスの導入など、オーケストレーションの「音色」にかなり気を使っているように
思えるんですが、だからこそ派手なだけでなく、ロマンティックなムードが出せるんでしょうね。
ギターも裏方に徹すべき所では徹し、主張すべき所ではしっかり印象的なフレーズを入れて
くるし、総じて非常に質が高い印象。ただ、メロディ楽器の音色にはかなりの拘りを見せて
いる割に、ドラムの音色がイマイチなこと、ヴォーカルが然程特徴的でないことが弱点と
いえば弱点なのかもしれません。
派手さと繊細さ、絢爛さと上品さを兼ね備えたシンフォブラックで初心者にもお勧め。
…ブラックの中でも、シンフォ系って最も取っ付きやすいジャンルだと思うので、
こういう良質なバンドがどんどん出てきているというのは頼もしい限りですね。