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THOSE WHOM THE GODS DETEST / NILE
前作よりも更に曲が複雑になっているがブラストビート、ツーバスの
速さ、キレは過去最高だと思う。
SEや呪文の様なクリーンヴォイスも今まで以上に用いられて
いながらアグレッシヴさは全く失われておらず、彼らの持ち味
が最大限に発揮された傑作である。
2009年発表の6th。
このバンドの作品を聴くのは3rd以来なんですが、順当に進化してますよね。
3rdと比べるとブルータリティはそのままに、より広がりのある音になったこと、
ヴォーカルが聴こえやすくなり、かつ表現力が上がり咆え方のパターンも増えたこと、
シャーマニックなノーマル声を入れたことなどで、クオリティが底上げされている感じ。
当然中近東メロディの導入によるインパクトの強さ、リフワークや豪速ブラストなども
相変わらず素晴らしく、デスメタルの名盤ガイドに是非載せたい、凄く質の高い音。
ただ、敢えて苦言を呈するなら、個人的には中近東要素の導入の仕方が物足りない。
4曲目のイントロや爆走パートの前、7曲目などでは「いかにも」と言う感じの、
儀式めいたアコギやパーカッションが導入されてますが…これらの使い方がSE的なのが不満。
もっとこういう音を分厚いリフやブラストと融合させて欲しいんですよね…。
これらが入っていないパートは、正直「メロが中近東っぽくなかったら、普通のブルデスに
なってしまうのでは」とか思ってしまう…。もっと大胆に呪術化してほしいです。
前作はリフは複雑なものの、なんとなく全体的にスッキリした感じだったが、
NILEらしいくどさが戻ってきたような気がします。
展開、リフはさらに複雑に、多重ヴォーカル復活と初期からのファンにはおいしすぎる内容。
個人的に好きな3rd、4thに負けずとも劣らない名盤クラスのシロモノです。
↑で、らくがきアニソンでよく見るお名前が並んでいるのが謎。
日本盤は、収録曲2つのインスト版を追加でした。
うーむ……
歌詞のカール本人解説が戻ってきた(ただし今回は対訳なし)のは嬉しいのですが、
肝腎の音が、聞き込まないとどうにもすっきりしすぎている。やってることは相変わらずなのに。
ニール・カーノンのプロデュースが効いてるのか?
トリオ編成(g,b,dr)になった影響もあるのか、重層的な音作りも三人でグルグル言ってたvo.の重なりも薄くなり、
ソロなどのgメロが聞こえやすくはなったものの全体に(圧迫という意味での)迫力不足な印象。
こいつらにクリーンvo.(絶叫みたいな「いやぁぁぁぁ」なの)は不要だし、いつもなら
ブルデス部分に溶け込んで聞こえる民族要素が少なくなっているのも妙な印象。
↑でUsherさん(長い)がコメントしている変化が、3rd『In Their〜』以降追っている自分にとっては少々生温かったのでした。
暗黒ぶりでも拷問にも似た曲のややこしさでも、3rdが頂点だったのかもしれません。
つまり、それ以降のNILEに求めるべきものは、少々変わってきたという……
そういえば、歌詞も今回はそんなに残酷じゃないですね。
アラーの他に神はいまさず
から始まるアルバムだもんなぁ……(とはいえ、本人解説で見る限り、あらゆる侵略や
宗教的圧迫に対してFxxkと言える人のための歌として歌った、というような記述が
あったりします。Extreme Metalを聞く人は、大抵そうなんじゃない?とも。
このあたりは「The Blessed Dead」に近いかもしれない)
一線級ブルデスとして聞く分には十分に安定株であると思います。
今回はもしかすると、カールのペダンティズムをすっきりと形にしたアルバムなのかもしれない。
……歌詞解説をちゃんと読んで聴くと、面白みが格段に増します。英和辞典片手にどうぞ。