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TIME IS THE SULPHUR IN THE VEINS OF THE SAINT / ABIGOR
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2010年発表の8th。

前作「Fractal Possession」は、普遍的なメロブラからかなり距離を置いた作風で、
賛否両論あった作品でしたが…個人的にはあの作品の作風を踏まえた上で、2曲38分の
大作アルバムを彼らが作ると聴いたとき、物凄く期待してしまったんですよね…。
結果、その期待を裏切らない、素晴らしいアルバムが出来上がったのではないかと思います。

スタイル自体は、打ち込みやノイズ/ドローンを使用したインダストリアル・ブラックと
言える路線ですが…なによりも「インダストリアル」していると思うのは、ブラックの
要素を残しつつ、定型から大きく外れた、メカニカルなギターフレーズや人が演っている
ようには思えないドラミングを中心とした、バンドのアンサンブル。…機械的であるのに、
濃密なサタニズムが背後に感じられる所に、凄みが漂ってる気がします。

例えば、THORNSの「Thorns」やDEATHSPELL OMEGAの「Kenose」「Chaining the Katechon」
などの「前衛的で、しかも邪悪」かつ、それを説得力を持って聴かせられる力のある作品って、
聴いていると、何か人知の及ばない神秘の深淵に触れているような感覚を味わえるんですよね。
この作品も、前作の前衛的な作風を踏まえた上で、更に邪悪さが濃密になったこと、大作を
聴き手の集中力を常に惹きつけた状態で聴かせられる作曲能力が備わった事で、上記の作品に
通じる、深淵さに触れる感覚を味あわせる力を持ったものに仕上がったのではと思います。

38分を作品と向き合って聴くとかなり疲れますが、凄く満足感があるし、単純に
ギターの奇怪なフレーズを聞き流してるだけでも楽しい。DEATHSPELL OMEGAが好きな方、
インダストリアル/アヴァンギャルドブラックが行けるならば必聴のアルバムですよ。
過去のメロブラの名盤の事は一旦忘れて、是非試しに聴いてみてください。素晴らしいです。
Usher-to-the-ETHER 2010年2月21日(日)8時32分

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