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PORTAL OF SORROW / XASTHUR
2010年発表の8th。
…今作を以って、XASTHURは活動を停止するらしいです。
近年では作風が鬱ブラックの王道を離れ、実験的な作風になりつつあったXASTHURですが、
今作でその実験性が極まった感じがありますね。フォークに硫酸をぶっかけてドロドロに
したようなアコギを取り入れた曲、初期LIMBONIC ARTやVINTERRIKET並にキーボード中心の
アトモスフェリックな曲、ベースの低音やギターノイズを強調し、神経症的な音像を
作り出す曲、パーカッションを取り入れて疾走する曲…どの曲においても、暗黒な世界観を
演出するために、何らかの実験をしている感じ。まさかXASTHURでメタリックなギターソロまで
聴けるとは思いませんでした。今までと比べると、1曲1曲が短めなのも特徴。
ただ、曲によって暗黒世界の追求の手法は違うんですが、全体にフィーチャーされた女性
ヴォーカルのせいもあり、今までより頽廃的・ゴシックホラー的な美しさ・儚さが
強調された感じで、全体的に統一感のある仕上がりになってますね。メロディ自体も、
どこか今までより情感に重きを置いている感じがしますし。まあ、どこをどう聴いても
「暗黒」なこの作品を、「ホラー」というエンターテイメント的なものを引き合いに出して
語るのは、少し適当でないという気もしますが…。
最早初期の鬱ブラック路線が好きな人よりも、暗黒プログレが好きな人の方が
気に入りそうな作風になってます。しかし、これを聴くと、今作で活動停止というのは
信じられませんね…まだまだ表現の方法が尽きてない感じしますもん。
ここまで暗黒音楽に没頭していたMaleficのことだし、また何らかの形でシーンに
貢献してくれる気がします。簡単には抜けられなさそう(笑)。