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ADVERSE SPHERES / NOX INFERI
2008年発表の1st。
あからさまなノイジーさではなく、うっすらと覆い被さるようなギターの歪みと、厚みのある、
空間系のキーボードが混ざり合い、ゆったりとしたテンポの中で立体的なアトモスフェアを
醸成する、アンビエント/ディプレッシブブラック。ヴォーカルがこの手に良くあるタイプの
泣き叫び系ではなく、妙な生々しさを感じさせる中〜低音域のがなり声なのも特徴ですね。
この作品、数あるアトモスフェリックな鬱ブラックの中でも、ギターノイズとキーボードの
一体感に優れた音像を提供していると思う。単に絶望的・ダークなだけではなく、どこか
クラシカルな上品さも持ち合わせているメロディとも相まって、包容力のある作品に
仕上がっている感じ。…映画の主人公が死ぬシーンを、海に沈む太陽で暗喩するとして、
そういう場面のバックで流しても合いそうな音。「人生の斜陽」的な(笑)。
ダークなメランコリックさの中に、上品さや儚さも内包した音で、アンビエント/
ディプレッシブ系が好きな方以外にも、シューゲイザー系好きな方にも推薦。
最近、何気にこの手のバンドで良いの多いなぁ…。