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EPARISTERA DAIMONOS / TRIPTYKON
CELTIC FROSTを脱退したTom G.Warriorをリーダーとするバンドの1st。
全体的には重くて遅くて陰湿と、CFの『MONOTHEIST』を明確に継承するサウンドになっている。
しかし「1曲目から10分越え余裕でした」なアルバム構成もそうだが、その仕上がりは以前よりもさらに無愛想。というか人間味がどんどん薄くなってないか?
シンプルながら音選びがいちいち危険なリフとか、尋常でない狂性を発するTomのヴォーカルとか、はっきり言って『MONOTHEIST』のほうがまだサービスがいい。
CF解散にあたっては色々とこじれたらしいが、その怨み辛みも乗算されたのだろうか?渦巻くネガティヴ・エナジーが本当に異常。
まあとにかく、ダークな音楽を好む人ならば必聴。TomはMartin Ainがいなくても大丈夫です。
19分に亘って呪詛を振りまくラストナンバーは白眉。ここまでやんなきゃ気が済まなかったのか。
2010年発表の1st。
…基本的には、スラッシュベースでありながら、スラッジ並の異常なヘヴィネスや、
ブラックの邪悪さまでも呑み込んで別の何かになってしまった、「Monotheist」の路線を
引き継いでますね。非デス声ながら、ブラック然とした凶悪さ、威厳を増し、世の中の苦痛を
全て背負って言葉を吐き出すようなヴォーカルを始め、邪悪さは更に上がっている印象。
特に最近のブラックの新しいバンドに顕著なんですが、邪悪さを追及するのに、例えば
音質を故意に落とすであるとか、アンビエントやノイズと融合するであるとか、様々な
バンドが様々な手法を用いていますが…このバンドは、スラッジ的な重さや、クラシック的な
ピアノの導入など、他ジャンルとの混交も一部にあれど、基本的には「リフ」が邪悪さの全てを
担っているのに凄みを感じるんですよね…。「Monotheist」の時も褒めましたが、こんな
周りの空気すらガン化させるような、黒い狂熱を孕んだリフを聴かせてくれるバンドは、
メタルの歴史全てを紐解いたとしても、ほとんどいないと言っていいのではないでしょうか。
…「時代を築いた」と言えるほどに後続に影響を与えたバンドが、全盛期の勢いを失って
只の懐古趣味や、全盛期の作風の縮小再生産、新しい事に手を出そうとして空滑りする…
等して、駄作を作ってしまうことは珍しくないですが…このTRIPTYKONはそういう位置からは
最も遠い所にいると言えるのではないでしょうか。これだけメジャーなバンドでありながら、
どんなにアングラな、カルトなバンドと比べても邪悪さで劣ることは先ずありません。
メタルでも最高級の邪悪さ・異形性を、新人バンド顔負けのフレッシュさで届けてくれる名盤。
ただ、3ヶ月限定のスペシャル・エディションというのは何か引っかかるなぁ…。
期間過ぎた後に、デラックス・エディション発売とか狡い真似だけは止めて欲しいです(笑)。
国内盤の帯にある通り、Hellhammer/Celtic Frostはデスやブラックの祖の一つですが、決して純正ブラックに部類される音楽ではありません。Triptykonもまた然り。
それなのにブラックばりの暗黒度と邪悪度。そして重苦しさはブラック以上。Celtic Frostに対してはよく「無愛想」という表現を用いていましたが、ここではもうそんな次元を通り越してます。全てを呪っているかのようです。
トムのボーカルも、昔のはよく「吐き捨てダミ声」と形容されてましたが、それはおそらく「唾でも吐き捨てるかのようなダミ声」の意。今や彼が吐きだしてるのは、闇と疫病と呪いです。
言うなれば、人間の心に巣食う陰湿さとか鬱屈とか怨念とか、ネガティヴで重い感情を抽出して何年もかけて熟成(腐敗?)させて、満を持して解き放った音……ってところでしょうか。面倒臭い例えですが。
Celtic Frostもリスナーを選ぶ音楽でしたが、Triptykonはもっとリスナーを選んでます。
トムは年取っても丸くならんだろうとは思ってましたが、まさかはっきり言って若い頃より性格の悪い音になっているとは……。
でもこの魔性にハマる人はとことんハマるんでしょうね。
再結成CELTIC FROSTにて「monotheist」という快作を輩出したものの
結局バンドから離れていってしまったトム・G・ウォリアーが次に作り上げた作品は
「monotheist」よりもさらに邪悪で真っ黒な作品でしたな。
やってる事はそれほど変わってるようには感じないんだけど
なぜかかつてないほどのネガティブなプレッシャーが放たれています。
実際自分はダークな音楽が大好きだと思っていましたが、
少し気が滅入っていた時にこのアルバムを最後まで聴けませんでした、いろんな意味で重い。
「monotheist」が好きな方は絶対聴くべき、
邪悪なもの、ダークなサウンドが好きな方も是非チャレンジしていただきたい。