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ROAD SALT ONE / PAIN OF SALVATION
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The Perfect Element Pt.3の前半となる今作。
メンバーの写真を前面に押し出したジャケットから「らしくなさ」を感じてはいましたが、その変化は楽曲にも顕著に表れています。
まず、ヘヴィメタル然とした重厚なギターワークは見る影を潜め、ガレージロック的なクランチサウンドが殆どです。
鮮烈なギターソロやユニゾンも皆無に等しく、プログレメタル特有の華やかさを求める方にはかなり退屈に感じるかも…
The AnimalsやKinksに近いものがあるかもしれません。

1.No WayはBeの楽曲から陰鬱さを覗いたような趣の曲。歴代のオープニングナンバーと比べてインパクトが弱い…と言わざるを得ないかも。
三分足らずの長さである2.She Likes To Hideは、今までの彼らなら劇的なインストパートに繋げた筈のところを、そのまま何の意匠もなく終わらせてしまう。
この曲は正直ショックでした。「プログレメタルの極北」としての音楽性をPoSに期待するリスナーは、このアウトロで不安にさせられることでしょう。
しかし、続く3.Sistersが素晴らしい出来。イントロのピアノから期待を煽られるままに展開していく悲愴なコーラスワークは素晴らしいの一言… 12:5での経験が生かされていると思います。ルー・リードのソロ作品に近いかな?

ただ… これ以降の楽曲群は「○○風」としか形容しようのない、もどかしい曲が殆どで… 何度も聴きたくなるような凝った曲とは言い難いです。
先行EPとして事前発表された8.Linoleumはキラーチューンと言えるようなダイナミズムを持った曲。リズムのアクセント付けが面白いです。ライブで化ける曲でしょう。
11.Road Saltはタイトルトラックというだけあって、コンセプトの中では重要な曲なのでしょう。オルガンが美しいです。
大曲である12.Innocenceは… 前作のEnter Rainのような呪術的なヴァイブを称えた重々しい曲。聴いていて愉快になることは決してないでしょうが、展開は面白いです。

全体として、バンドのパワーバランスがボーカル>楽器というふうに傾いてしまっていて、歌モノが多数を占める結果になってしまいました。ダニエルが優れたボーカリストであることは明白ですが、シャウトと囁きで50分間もたせるのはさすがに無理があるなと…
かつての彼等の楽曲が持つ、陰鬱さに内含された美しさは、練られたインストゥルメンタルの構成美に依拠するものであることを痛感させられました。
秀逸なメロディの構築の中でこそダニエルの歌唱も活きるのだと…

殆どの楽曲が必要最低限の要素だけで終わってしまっていて、楽曲そのものの方向性が見えない事も痛いです。
疑問符が浮かぶようなアウトロの曲も少なくありませんし、作曲を事務的にこなしているような印象を受けてしまったことも事実。
一枚通して聴くことが前提のコンセプトアルバムにおいて、「悪くないけど、もっと何かあるのでは?」という所感を持ち続けるのは正直つらいです…

まだ歌詞とコンセプトの考察までには達していないので一概には評価できませんが、個々の楽曲のクオリティには大きく隔たりがあるように感じました。
Part Twoが発表されたときには、この作品の位置付けも判然とすることでしょう。その頃には曲の評価も変わってくるかも…
あとは、来日公演を切実に望みます!

2Y1Y1Z2 2010年6月12日(土)17時40分

>2Y1Y1Z2さん
あの……だからPt.2は『scarsick』がそうなんじゃないのかと……
(個人的には音楽として見事な黒歴史アルバムですが。楽曲としてのつまらなさを
弁護しきれなかった)


まずはアルバムの詳細について。

外版デジパックだと、アタマに「What she means to me」が追加されます。
そして、「No way」と「Road salt」が伸張バージョンだそうです。
自分はこっちを中古で入手。

今般出た日本版だと、アタマのボートラは同じですが、ラストに「Tip toe two」が付くそうです。
裏ジャケのクレジットでは、伸張バージョン曲はない模様。


さて、肝心なのかどうかは読む人任せな、内容の紹介。
私としては、『Be』『Scarsick』の「エフェクト・SEでの構成路線」から、「ヘヴィかつ
人肌の温もりを持つ悲痛な歌もの作品」に回帰してくれて、ようやく真面目にバンド作を
作る気を取り戻したかダニエル……といった感じの評価。

ただし、音は確かに、ガレージバンド風味。もしくはその昔のパブ・バンドだろうか?
ブックレットの中が、キャンプに来ている夫婦のような写真で構成されているので、
その中にあるキャンプファイヤーで奏されている音楽なのかもしれない。
とはいえ、弦楽器の響きを聴くと、アコースティックかつ埃の空気感のある屋外演奏ではなく、
スタジオで真面目に作ったんだろうなー、と思う感触もある。

変な例えだが、OPETHでいうところの『Damnation』のような作品かもしれない。
ALICE IN CHAINSとか、FREAK KITCHENとかが好きな人が半分洒落で買ってあげると
良い感じなんじゃないかと思うが……どうなんだろう?

歌詞も、どうやら「これまでの人生で常に刻んできた、個人間関係での軋轢」を綴ったような、
中期(『PE1』『RL』)路線に戻ってきたようで、いつもの日常感&暗さで一安心。


歌としては、ボーナスである①をはじめ、vo.曲として楽しめるメロディ・ラインに
それなりに富んでいるので、『scarsick』で見せた言葉の羅列やラップ調、ディスコ気取りの
声の入れ方に比べれば随分と、一聴した時点で楽しめる印象。

ダニエルの声も、『PE1』や『RL』で出てきた、有機由来の鉄錆の匂いたっぷりのメロが
所々で顔を出し、押し付けがましさが減ったように思う。
初期二枚(『Entropia』『One〜』)で見られた透明感のある歌い方が懐かしくなることもあるが……。


最後に。
各曲は長さやバンドのインスト部分が薄め(歌の後ろはなかなか凄いことをやっている
ようにも思うが)なこともあってあっさりサイズだが、どうやらアルバム全体の中で切れ目が
意識されない構成になっているようだ。

次々に繰り出されてくる歌メロを追っているうちに「あれ、もうこんな後半?」と我に帰る
体験をさせてもらっている。
これは「聞き飽きていない」ことのサインではないかな……と歓迎中。

……しかし、コンセプトに反するのか何なのか知らないが、①からボーナス(しかも
美味しい曲)というのはどうなんだダニエル……本国のファンが泣くのでは?
k.s.m.2 2010年8月27日(金)22時38分

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