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BIOGRAPHY OBSCENE / TULUS
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2007年発表の4th。

掴み所のない、しかし毒々しさやどす黒いムードを異様なまでに発するメロディを
練り込んだリフが、ベキベキと歪んだベースと絡むアンサンブルが、前衛的な雰囲気を
醸し出すブラックメタルですが…多くのアヴァンギャルドブラックがある程度メタルから
離れるのに対し、この作品はブラストで攻め立てるパートも多いし、ロックのダイナミックな
リズムも取り入れるし、アンサンブルにはキメを多用するしで、メタル(及びロック)志向が
非常に強いのが特徴ですね。

Voもスラッシュの吐き捨てに近い、地声混じりのがなりでやっぱりロック的なかっこよさが
あると思う。しかしブラックに必要な威厳もしっかり備えているのが素晴らしい。
また、ところどころにストリングスやブラスが、頽廃的な美しさを醸し出すパートも
挿入されてますが、それらがSE的に挿入されるパートでさえも、単に効果音的ではなく、
バンドサウンドとしっかり地続きとなって聴こえるように、毒々しいムード作りのセンスは
かなり良いと思う。音質もベースを強調した太くクリアで、ややRAWさも残したもので
この作風には見事にマッチしてる。

メタル/ロックの持つ根源的な熱量の高さを、ブラック特有の禍々しいムードに還元している
という点では近年のSATYRICONを思わせますが…こちらの方がよりアングラ度が高い音。
<CODE>のメンバーが言う所の、「初期ブラックの催眠的でありながら残忍のように極端な
要素を備えた、ミステリアスで神秘的なムード」をしっかり引き継いだ作品であると思います。
…と、無理矢理理屈を付けてこの作品の魅力を語るとこんな感じ(笑)。
一聴で「何か凄い」事は伝わるけど、その凄さを言葉にするのが難しいアルバムなんですよね。

KHOLD、SATYRICON、<CODE>、SECRETS OF THE MOON辺りを愛好する方にお勧めですが…
これらのどのバンドとも異なる個性を持った作品だと思う。
ノルウェー産ブラックの奥深さをまたしても良く伝えてくれる好盤です。
Usher-to-the-ETHER 2010年6月23日(水)0時25分

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