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POISON / I SHALT BECOME
2010年発表の5th。
このバンドって、元々キーボードによるメロディを非常に大事にした鬱ブラックを演って
いましたが、まさかここまでキーのオーケストレーションに比重を置いた作風になるとは…
以前よりアトモスフェリックなキーがバンドサウンドを包む音像を提供してはいましたが、
今作では更にクラシックのワンフレーズのような華美(かつ非常に陰鬱)なメロディ、
ブラスやティンパニ等の音色を取り入れたスケールの大きい音使いなどを取り入れ、
よりダークアンビエントやフィルムスコアに近付いた感じがします。
暗黒美の表現、曲から感じる何かに追われるような焦燥感・圧迫感から、決して丸くなった
とは言えない作風ですが…淡くノイジーなギターリフが音量小さめで、キーボードに
溶け込み、耳に痛くない音像になっているあたり、聴きやすくはなってると思う。
曲から伝わる負の感情を増幅する、歯軋りした歯の隙間から憎しみが漏れるようなVo、
とぼとぼと絶望しながら歩くようなスローを基調としつつ、キーの盛り上がりに合わせ
フレーズを展開するドラム、淡いノイズや混沌としたリードフレーズで、曲作りを
秩序だったものにし過ぎないギターなど、どの要素もキーを上手く引き立ててますね。
もう単純なBURZUMフォロワー、XASTHURやSTRIBORGに順ずる音とも言えなくなった作品。
ブラックの記念碑的なアルバムで言えば、BURZUMやMORTIISのキーボードアンビエント、
WONGRAVEN、Ihsahnソロ化してからのTHOU SHALT SUFFERなどが好きな方にお勧めです。