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THE RETURN TO DARKNESS / DEMONIC RESURRECTION
2010年発表の3rdにして、名門Candlelight移籍作。
インド産とは思えない、辺境色の殆ど無い、非常にクオリティの高いシンフォニックブラックで、
CDショップの紹介ではDIMMU BORGIRやLIMBONIC ARTが引き合いに出されてますが…
(最近の)DIMMUが生オーケストラとメタルサウンドの壮大なブレンドで、(初期)LIMBONIC ARTが
低音質とキーの洪水で、それぞれ「映像美」を描く傾向が強いのに対し、このバンドはそういう要素も
取り入れつつも、非常に物語性に富んだ曲展開を重視している感じ。シンフォブラックであると
同時に、エピック・ブラックでもある作風と言える音だと思う。
驚いたのは、シンフォブラック特有の煌びやかな音像に依存し過ぎない、曲自体の構築性の高さ。
ABIGAIL WILLIAMS(の1st)ばりの派手なキーボードで聴き手を圧倒するパートもあれば、
キーを一旦引っ込め、メロデス的な鋭いリフでメタリックに聴かせるパートもあり、部分毎の
音像にかなり幅がある感じ。しかもその上、その長所を最大限に活かして、ドラマティックな
曲構成をしてるんですよね…。これはCandlelightが放って置かないはずです。欲を言えば、
クリーンVoがもう少し上手いと良かったなぁ…曲は非日常の極みみたいなのに、いまいちな
クリーンが妙に所帯染みて聴こえてしまう…(笑)。
歌詞を読んでみてもフィクショナルな世界観をシリアスに描き、アルバムで一つのコンセプトを
成すような作りにしている辺り、リアルな邪悪さよりもエンターテイメント性を重視していると思う。
そういった、「ドラマのような音楽」が聴きたい方なら、シンフォブラックファンならずとも聴く価値アリです。