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POETS AND MADMEN / SAVATAGE
皆さんはある一枚の写真をご存知だろうか。
アフリカの小さな女の子が栄養失調で痩せてもう動けなくなり、道にうずくまっているその後ろで一羽のハゲタカがその女の子の死をじっと待っている・・・という写真である。
おそらく皆さんも一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか。
なんともショキングな93年のスーダンはアヨド村での大虐殺時の写真である。
実はこの女の子は遠い場所から食料が配給されていると聞き、現場へ向かったものの既に食料はなく絶望してそのポーズを取っていたという。
そしてこのSAVATAGEのアルバムではその写真を撮ったケヴィン・カーターという実在した報道カメラマンの人生をモチーフにした作品である。
ケヴィンはフォトジャーナリストとして暴動や内乱といった写真を撮り続けた人である。しかしアフリカ各地でで虐待の現場という人間の愚かな行為を目撃した反動から、彼はマリファナを始めドラッグに手を出し現実逃避に走る。そして遂に上に述べたスーダンでの決定的な現場を撮影するのである。彼は撮影後、木下に座り涙を流しながら煙草を吸い続けたそうである。
この写真は94年にフォトグラファーとしては最高の名誉であるピューリッツァー賞を受賞している。成功しこれから大口の仕事が舞い込んでくるはずであったが、彼は自分がその目で見た人間の残虐な行為の現場を頭から振り切ることが出来ず、遂には数ヵ月後に車の中にガスを引き入れ自殺してしまうのである。ケヴィン・カーター、33歳であった。
これが実在したケヴィン・カーターという写真家の衝撃的な人生である。
もし自分がそういう立場の人間だったとしたら、自分には何が出来るであろうか・・。
SAVATAGEはその写真家の死と体験をアルバムコンセプトとし、このアルバムを非常に説得力のあるものにすることに成功している。アートワーク、歌詞、ストーリー全てにおいて度肝を抜く仕掛けが施してあり、バンドが訴えたかった問題がリスナーに直接伝わるように工夫されている点はさすがSAVATAGEである。
僕のような人間を現在世界中で行われている理不尽な人間の行為へ少なからず目を向けさせただけでもこのアルバムは名盤といわざるを得ない。もの凄い説得力を持ったアルバムだ。
「ザッカリーがいねえーー!!(涙)」とのっけからショックを受けつつも、
ジョン・オリヴァの爬虫類声と物悲しいピアノの音色があれば
とりあえずSAVATAGEは成立するんだなあと納得させられたアルバムです。
大曲「Morphine Child」が6曲目という半端な位置にあることや、
その後にドラマチックな曲が続くのにラスト前の「Awaken」で流れがブチ壊されるように感じることなど、
曲順には多少の疑問がありますが、詞も曲もSAVATAGE色全開なのでこの際文句は言いません。
いかにもメタルらしいゴリゴリしたサウンドも好印象。
何でこのバンド日本で人気ないんですかねえ…。いい作品出してると思うんですけど。
(ていうか今活動してるんですか?)