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MEDULLA / BJORK
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言わずと知れた、2004年現在におけるBjork最新作。オリジナル通算5作目。そういう意味では、この時点でレビューを書くのは難しいんだけど(困)。今まで一つの音に固執するということのなかったBjorkがあくまで「人間の声」に拘った今作は、全てのトラックが人間の声によって構築されている。また、アルバム・コンセプトにおいても、それまで音楽家として政治的発言を避けてきたBjorkが初めて「世界情勢に影響を受けた」と告白している。常に新しいことに挑戦してやまない彼女ならではか。アテネ・オリンピックの開会式を飾ったOceania、フジロックで披露されたdesired constellationなど、全体的に壮麗なイメージ。一聴してとっつきやすさはないので入門編としては厳しいかもしれませんが、彼女独特の童話的な恐さ・美しさがより強調された作品として評価したい。ジャケのヘア・スカルプチャーも注目!
yk 2004年9月21日(火)11時24分

5th。
曲づくりの過程でどんどん楽器の音を外していった結果、最終的にはほぼ肉声のみ(聴けば分かるが、加工もふんだんに施されている)で全てが形成された今作は、まさに「オーガニック・シンフォニー」とでも形容すべき声の魔法に彩られた作品となっている(勝手に命名)。
MEDULLAを聴く前に「bjorkの新作は人間の声だけで作られたアルバムらしい」という情報を聞いて、私はエンヤみたいになるのか、はたまたグレゴリオ聖歌っぽい内容になるのか、どちらにしても重厚な内容となるのは間違いないだろうと踏んでいたものである。
しかし実際に聴いて、私の予想が当たっていたのは後者の「重厚な内容」ということだけで、エンヤ風でもグレゴリオ聖歌もどきでもない、私が今までに聴いたことのない、しかしbjorkの匂いのする世界がそこには在ったことが分かった。
もっとも多くのリスナーと同じく(?)、第一印象は「失望」であったことは否定しない。
前作「VESPERTINE」から私が受けた感動はとても大きく、3年ぶりの新作ということでそれだけ期待も大きかっただけに肩透かしを食らってしまった感じを受けたからだ。
現在は相当聴き込んでいるので、この作品の良さが朧げながら掴みかけてきているような気がしているけど、今作はスルメ盤なのかもしれない。
ykさんが「入門編としては厳しいかもしれない」と仰っているが、私もそうだと思う。
しかし、bjorkの今までの作品を知らず、MEDULLAで初めて彼女の音楽に触れることになる方の方が意外と今作の世界観には入り込みやすいかもしれない。
かなり乱暴な括り方かもしれないが、bjorkの作品は全てが実験的なものであり、それらを全て飲み込んだ上でbjorkを愛してきたファンの方々(の多く?)が今作に戸惑いを覚えたということで、既出作品とはひとあじ違った魔法が今作にはかけられていることが分かる。
そして、その「声の魔法」が効力を発揮するまでには少し時間がかかるかもしれない。
というわけで持っている方はぜひもっと聴き込んでみてください(笑)。

GREATEST HITSを出して一区切りついたbjorkが新たに繰り出してきたMEDULLAがこういう内容で正直戸惑い驚きましたが、次の作品ではどんな魔法をかけてくれるのかも楽しみなところだと思います。

Where Is The Line、Oceania、Triumph of a Heartが好きです。
粗茶ですが 2005年3月1日(火)0時51分

“芸術とはこういうもの"というのを植え付けられた作品。
前作『Vespertine』は“彼女の内に秘める感情と日常生活そのもの"であったが、
今作は“人間への愛と世界への平和"を感じる楽曲が散りばめられているようだ。

『medulla=脊髄』というタイトルが、
人間にとってなくてはならないものであり、ヒトにとっての本質を示しているように
この作品もまた聴く者の奥底に訴えてくるものを感じるのだ。
しかしながら、多くが「前作とは対極に位置している」と評されている。
それは、彼女のこれまでの音世界(楽器世界とでも言っておきたい)を
より人間的に、より感情豊かに推し進めるかのように、
そのほとんどが肉声(およびそれに近いもの)で構成されていること、
さらには、政治や宗教、人種にとらわれない感覚が
「聖歌」とは違った独特の神々しさを楽曲から感じたり、様々なミュージシャンの起用していることなどから
その異質のアプローチをわかる事が出来る。

表現される音(というか声)は血液の流れや筋肉のうねりなどを想像させるような
音世界(人間世界?)が広がっているようだった。
しかし、個人的観点としては、その人間の芯にせまるような楽曲が
素晴らしさを表すことの紙一重でグロテスクさを連想させているのかも知れない。
例えば自分自身から流れているものなのに、いざその血を目の当たりにするとゾッとする感覚…。
もちろん今までのスタイルとは違った趣を感じるからというのもあるが、
楽曲があまりにリアル過ぎるというのが初聴の印象の悪さの原因なのかも知れない。
聴けば聴く程この“声の魔力"に魅了されていくのだよ…(笑)
改めて“芸術とはこういうもの"なんだと思う。

背景として、『語れ!』で既出のとおり、bjorkは今作が誕生する前に出産を経験している。
もしかしたら、この作品は「人を愛する気持ち」や「独りでは生きて行けない」ことと言った
その子への教えの気持ちをたっぷり込められた作品なのかも知れないな。
猿葱 2005年3月4日(金)1時11分

音楽家には生の演奏から生まれるグルーヴやケミストリーを重視するミュージシャンタイプと、とことん作品の質や形にこだわるクリエイタータイプの2種類がいると思うけど、メダラはビョークのクリエイター魂が炸裂した作品。(ちなみに彼女はミュージシャン、クリエイター両面持ち合わせたタイプだと思う)

ヴェスパタインを聴いた時はそのあまりの素晴らしさに「ビョークはもう行き着く所まで行ってしまった」という印象を抱いた。それは今でも全くの勘違いだとは思わなし、あの作品はやっぱりある一つの方向性においてとことん突き詰められた究極に美しいアルバムだと思う。
彼女の凄いのところは、あれだけ完成度が高く世間からの評価も上々だったアルバムの後に、その作風に何の未練も見せず、けろりと全然違う作品を作って見せたことかな。やっぱり彼女はいつでも自分の衝動に正直に作品を作る、根っからの表現者なんだと思わされた。

ジンボーグ9 2008年2月23日(土)6時47分

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