YOU ARE HERE / UFO (新譜感想)
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131-1. YOU ARE HERE / UFO H・W 2004年3月31日(水)0時50分

またも出てってしまった気まぐれ神様の後任にヴィニー・ムーアを迎えたUFOの最新作。
実はこのヴィニー・ムーアというギタリスト、個人的に忘れられない人である。
もう15年ほど前になるだろうか、当時猛烈ギター小僧だった僕は、速弾きのお手本にしようと、ヴィニー・ムーア氏の教則ビデオを買った。
(初級編と中級編の2種類あったが、天狗の鼻だった僕は迷わず中級編のほうを選択した)
さて、家に帰ってビデオの前。
自分のギターのチューニングをあわせ、アンプのスイッチを入れ、準備万端で、いざビデオのPLAYボタンを押した。
教則ビデオは、ありがちなイントロダクションから、本題に入っていく。
(じゃあ、このGマイナーのスケールを、こういうパターンで上昇しよう。)←英語
(最初はゆっくり)
ぴろろぴろろ・・・・
「なんだよ、簡単簡単。上級編はないのかよ・・」
(じゃあ、速くやってみよう。)
「!」
眼前に繰り広げられた、衝撃の映像を、僕は今でも忘れない。
それ以降、ぼくのギターは一音たりとも出すことなく、ただ唖然とビデオのおしまいまで眺めるだけだった。
以来、僕の口癖は「やっぱりギターはブルースだな」である。
閑話休題。話を戻そう。
てっきりジョン・ノーラムが弾くと思っていた僕は、このUFOの最新作、実はノーマークだったのだが(ジョン、ごめんね)、久しぶりにヴィニーの名前を目にして、思わず財布の紐が緩んだ。
ヴィニーは信じられないぐらい優秀なギタリストである。その気になれば、イングヴェイだろうがマイケル・シェンカーだろうがジョー・サトリアーニだろうが、なんでも弾けるはずだ。
そんな彼だが、UFOのアルバムに参加するに当たっては、よく立場をわきまえた演奏をしている。
たまに出るアルペジオやスキッピングで、どうしても隠し通せない圧倒的なスムーズさ、上手さが顔を覗かせるものの、基本的にはテクニックに走らず、情感を大切にした演奏だ。
作品全体の印象が驚くほど若返ったのは、そんなヴィニーよりも、ジェイソン・ボーナムに拠るところが大きい。
前任のエインズレー・ダンバーも、チキチキパッタンのアンディ・パーカーよりは派手だったが、ジェイソンは流石にボンゾの息子。遠慮のなさが違う。
ドカンドカンと、強烈な叩きっぷりだ。ナイスミドルと化したモグ氏の心臓は大丈夫か?
そんなわけで、このアルバム、前作SHARKSと比べると、年齢で10歳ぐらい若返り、全域でパワーアップしている。非常に良いアルバムだ。

しかし、流石に比べちゃ可哀相だが、「神」はやっぱり凄かった。
テクニックではおそらくヴィニーに太刀打ちできまい。
ヴィブラートなどの情感系技術でも、ヴィニーはマイケルに勝るとも劣らぬ。

しかし、やはり、違う。
ここぞという瞬間にぐわあああっと感情を煽る「衝撃の一音」の説得力が、やはり違う。
コード進行に対するスケール・ノートの使い方が上手いというか泣かせるというか・・・。
それほど面白くない曲でも、「その一節」を聴くために長い前フリを我慢できてしまいそうな、そういう「至極の一瞬」がない。
ヴィニーの演奏は上手いし、かっこいいんだけど、なんだかサラッと流れていってしまう感じなのだ。

たとえば・・・
ラップタイムはヴィニーのほうが速い。
しかし、いろんなところでつっかかりながらも、ある区間の通過速度だけは、全く他を寄せ付けないというのがマイケルだ。

僕はSHARKSが好きで、愛聴している。
今作は、そういう存在になりうるだろうか・・・。


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